スキンヘッドの彼の手招きで、そそくさと助手席に乗った。
お互いに「初めまして」と挨拶をする。
駅のロータリーを出てすぐだったと思う。
彼が「ななみちゃんってカワイイね」と言ってくれたのだ。
30も過ぎてカワイイはないでしょ。っと返したが嬉しかった。
「50のおじさんからしたら30代はカワイイだよ」と
「こんなおじさんだけどいいの?」と彼。
「はい・・・。年上の方が好きで」と私。
ぎこちない会話が続く。
昨日までの雪がウソみたいに、暖かな陽射しが車内を暑くした。
私は着てきたツインニットの長袖を脱いで、半袖に。
気温だけじゃない。
気持ちが高揚しているから
私は出発前夜、彼に短いお手紙をしたためていた。
それを彼に渡すと、赤信号の時に読んでくれた。
「うん。分かった。次に信号で停まったらね」
と言って、次の信号で停まった時
私の左手を取り、薬指から結婚指輪を抜いてくれた。
「今日と明日は僕の彼女だからね。」と